天皇杯・・・

 昨日は天皇杯の決勝。大方の予想通り鹿島が2−0で広島を破った。なんでも鹿島にとっては11度目のタイトルだそうで、93年にJリーグが始まったことを考えると、素晴らしい成績である。
 試合の方は、開始早々鹿島が先制、そのまま逃げ切った形だったが、前半の鹿島の前線から中盤に賭けての守備は素晴らしく、広島の選手がボールを持つとすぐに数的優位に持ち込んでボールを奪うか、前線に意図のないボールを送らせるかといったコンセプトがはっきりとわかるゲーム運びだった。まさにこれぞ現代サッカーといった感じがした。後半はさすがに運動量が落ちて、広島に攻め込まれる場面も多くなったが、最後の最後できっちりと守備をしていたのはさすがである。こういうサッカーが90分間できたら日本のサッカーもかなりのレベルになるのではないか、そう思わせる試合だった。
 木村和司氏の解説もよく(少々専門的すぎるようではあったが・・・)、得点の少ない緊迫した試合を上手くとらえていたように思う。

 さて、天皇杯の決勝というと思い出がある。
 私が高校3年生の時に、従兄が航空会社に勤めていた関係で、元日の国立競技場の決勝戦に招待してもらったのである。なんと日帰りでである。対戦カードは、ヤンマー対永大産業。知らない方も多くなったと思うが、ヤンマーにはあの釜本がいて、中盤にはネルソン吉村ジョージ小林という日系ブラジル人がいた。対する永大には、これまたジャイロというブラジル人がいた。私の年代なら、懐かしくて涙が出るほどだろう。
 試合は釜本のゴールでヤンマーが2−1で勝利。当時はヤンマーが大好きだったので、嬉しかった記憶がある。
 当時の天皇杯決勝は、今と同じようにNHKで生中継されてはいたが、私が見た試合は、メインスタンドにしか観客(5000人くらいかな)はおらず、バックスタンドには人はまばらという悲しい有様だった。もちろんゴール裏の熱狂的な応援もなく、それが当時のサッカーに対する社会的関心度を表していた。
 
 それから三十数年、時代は変わったものだ。昨日の試合は4万6000人という。それだけサッカーに関心のある人が増えたのだ。その人たちに満足してもらうサッカーをJリーグは表現しなければなるまい。そのための底上げ、これが我々の仕事なのだ。サッカー万歳!