井の中の蛙になるべからず・・・

 関西遠征が終わった。昨年はセレッソと対戦しレベルの差に愕然とした記憶があるが、今年は大阪の町クラブとの対戦が主だった。
 町クラブといっても、みんなそれぞれにしっかりしたコンセプトを持って指導されているチームばかりで、選手たちにとっては非常によい経験だったと思っている。
 いろいろなチームと対戦して、一番感じるのは、やはり我々上級生のチームのコミュニケーション不足。端的に言うなら、声が出ないということである。賞賛の声、激励の声、そんなチームの士気に関わる声もそうなのだが、指示の声や要求の声など戦術に関わる声もまたあまり出ないのである。技術的な部分や肉体的な部分では、関西の選手と比べても全く見劣りしない選手ばかりなのだが、とにかく試合中おとなしいのである。
 それに比べて、新人チームは声が出る。時には試合中に言い争ったりもするくらいなのだ。上級生とはいえ、その点は後輩にも学ぶ姿勢を見せる必要がある。おとなしいことは決してサッカーにおいてはよいことではない。うるさいくらいがいいのだ。そうすることがある意味個人のサッカーのレベルを上げることにつながるのである。おとなしい、声の出ない日本代表選手はいない。そう考えるなら当たり前のことだろう。当たり前のことを当たり前にやる、そこが課題なのである。

 さて、大阪の選手、声が出るだけでなく、非常にどん欲さを持っている。外にボールが出た時にでも、「マイボール、マイボール!」と叫んで、あたかもすべてがマイボールなのかのように言い続けるし、セットプレーの時には相手の隙を突くように非常に速くプレーを再開する。ホントに抜け目ない、いやがめついのだ。きっと関西では当たり前なんだろうなあ・・・、そういった部分も我々のチームの選手には見習ってほしいものである。

 こうしていろいろなタイプのチームと対戦することは、選手にとってはもちろんだが私たち指導者にとっても非常にいい勉強になる。地元ばっかりで試合をしていたらこうはいかない。ちょっと経済的には大変かもしれないけれど、どんどん外へ出て行って地元では得られない経験をさせるべきだろう。

井の中の蛙大海を知らず」、そうならないように気をつけねばなるまい。

追伸
 大阪の指導者は熱い。そして人情味がある。それだけでなく、よく勉強している。その熱意が我々にもヒシヒシと伝わってきた。いろいろと話をしていると、自分もがんばらねば、そう思わざるを得なくなる。ありがたいことだ。
 今回も様々な方にいろいろとお世話になった。この場を借りて、あらためてお礼を言いたい。