プロの技

 今日のNHKでは函館に在住の谷目基さんというストリートオルガンを製作している方を取り上げていた。ストリートオルガンというのは手回しのオルガンで、今はそれを作ることのできる人は谷目さんを含め日本にたった2人しかいないという。材料の仕入れからオルガンの組み立て、さらには音の調整まですべてを一人でやっているというのだ。
 ストリートオルガンというと高価で精密なものであるから誰しもが触れることができない、そんな感覚を持ってしまうのだが、谷目さんは違う。小さな子どもであってもどんどん触って、そして回してほしいのだという。オルガンを聴く人々の安らかな表情、そして子どもたちの笑顔、それらが作る喜びなのだという。そこには、地位や名誉に対する欲あるいは金銭に対する欲は微塵も感じられない。
 本当のプロというのは谷目さんのような人のことを指す言葉ではなかろうか。確かに、スポーツの世界においてもプロは毎年多額の報酬を得ているのは事実だが、本当のプロは崇高な目的を達成するために自分の技を磨き続けいく人のことだろう。私はサッカーの指導においては身分的にはアマチュアだが、このようなプロ意識は忘れてはいけない大切なものだと思う。
 ストリートオルガンの奏でる優しい音と谷目さんの言葉が、忘れかけてた何かを思い出させてくれた。